保護フィルムと言えば、スマートフォンのタッチパネルに貼るものが思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか?

実は、他にも様々な用途で保護フィルムは開発され、使われています。

例えば光学、車、半導体、ガラス、金属などです。

保護フィルムのスタートはといえば、1960年代初めに発売された日本初の大衆車パブリカの

バンパーの製造向けに日東電工で開発されたのが始まりです。

それまでの粘着テープは、絶縁テープもセロハンテープも車の塗装用のマスキングテープもアメリカ発のものでしたが、保護フィルムは日本発の製品です。

鋼鈑のプレス加工時の傷防止が目的で開発されましたが、使ってみると、より深い形状に美しく加工するのに欠かせない存在になりました。

SPV(サーフェイス・プロテクト・ビニール)と名付けられ金属用途に使われる保護フィルムの代名詞的存在になりました。

もし、このSPVの開発がなかったら・・・

液晶テレビはなかったかもしれません。或いは、ここまで普及しなかったと思います。

液晶ディスプレイの心臓部といえる偏光板製造にも保護フィルムは欠かせません。

SPVを代表とする保護フィルムが様々な用途の中で進化をしていったのです。

パソコンのICチップに使われるシリコンウエハーのダイシング加工でも、SPVから進化した保護フィルムが使われています。

このように、金属業界で生まれた保護フィルムが「もしも、なかったら・・・」

不良率が高く、テレビもパソコンも大変に高価なものになっていたかもしれません。

また、私たち日常生活の中でステンレスやアルミが使われている様々な製品は、不良が多発して、資源を無駄にしていたかもしれません。そして、製品は高価なものとなり私たちの生活環境も、ここまで進化成長することはなかったと思います。

このように、保護フィルムは、それほど目立たない存在ながら、私たちの生活や日本のモノづくりに大きな影響を与え、時代を大きく前進させる大切な役割を、今も担っているものなのです。

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