表面保護フィルムには、
- 貼り合せ機能
- 加工機能
- 保存機能
- 剥離機能
という4つの機能が求められます。
それぞれについてご説明します。
1.貼り合せ機能
シワや空気が入らないように、ある程度フィルムに張力を加えながら貼合せすることがポイントです。特に、塗装などの表面処理が施されている被着体は、シワや空気(気泡)が“跡”となって残るなどの不具合につながるリスクが高くなります。
2.加工機能
フィルムを貼合せ後、曲げや抜きなどの加工がともなう場合、テープにも、それに応じた加工性を有することが求められます。
加工には、切断(シャーリング)、抜き(パンチング)、曲げ(ベンダー)、絞り、レーザー加工 等がありますが、求められる特性も加工方法によって異なります。
切断(シャーリング)
切れ性の良いフィルムが必要です。
抜き(パンチング)
切れ性の良さと一定以上の粘着力が必要です。
曲げ(ベンダー)
金型との接触箇所でフィルム切れと板材厚さとクリアランスに注意が必要です。
絞り
ステンレスなど、材料の伸びやすさをいかした加工方法。フィルムにも、材料同様伸びやすいという機能が求められます。
なお、加工油によってはフィルムを膨潤させることがありますので、事前に適性を評価する必要があります。
レーザー加工
アシストガスによって剥がれない粘着力が必要となります。その特性を十分に引き出すため、加工の2~3日前からフィルムを貼合せしておいた方が効果的です。
また、両面研磨仕上げ材には、表裏ともテープを貼合せする必要があります。この場合“ドロス”が危惧されますが、ドロス付着の低減可能なフィルムもあります。
3.保存機能
フィルムを貼合せ後、剥がすまでの保存条件(場所・期間・温度・荷重)により粘着力は変化します。フィルムを選定する際には、貼合せ後の条件を充分考慮する必要があります。
粘着力上昇のメカニズム
4.剥離機能
表面保護フィルムを剥がす時にスムーズに剥がせること。また、その際糊残りがしない事が要求されます。
糊残り現象とは
糊層の破壊現象の事をいう、破壊現象には投錨破壊・凝集破壊・界面破壊の3つがあります。そのうち、界面破壊は正常な状態のことを指しています(界面破壊=キレイに剥がれる)。一方、投錨破壊は基材層から糊層が分離して被着体側に移行する現象をいい、凝集破壊は、糊層が基材層と被着体に分離する現象をいいます。
※糊残りがあった場合、この破壊現象の確認が糊残りの原因究明に役立つ事があります。
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